銀河の彼方で

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(1)

 ……そして、宇宙で。星の海の中で、その日――。私は私の運命と巡り
逢った。

 運命の声が、第一艦橋に入電してきた。
 思えば、古代と相原はすでに太陽系外周軌道でこの入電を受けていた
のだった。正体不明――それは真田さんが防衛軍でわれわれに見せてく
れたのと同じエネルギー通信。
 恐ろしいパワーを持つ、人間とは相容れない能力……私はその時、す
でにそのことを察していたし、なおそれだけに、この声の持つ矛盾した
目的と、声そのものの魅力に、魅せられていたのかもしれない――。

 操艦の責任を持つ私にとって、その声は、暗闇に差す一筋の光だった。
 通信装置から溢れ出すエネルギーが、輝きを放つ。私たちの行く手に
ただ一つ確かな目的として、それはかすかにきらめいていた。

 相原が眉をひそめ、そして私も、自分らしくないと思いながらもとどめる
ことができなかった――。熱く、身体の内から湧き上がる想い――。
ユキへの恋でも感じなかった衝動だった。
 身体の芯が揺さぶられる――。同情だったのかもしれない、その美し
さと、年齢に見合わない影。そしてこれまでに出会った宇宙の女性たち
に感じなかった冷たさ……。
 彼女は一人。ただ一人のテレサだった。私は、すべてを忘れ、使命す
らも捨てようとした。それは、彼女を理解しようとした時に始まっていた
運命だったのかもしれない――。

moonライン

 謎のメッセージと女神の声に導かれてここまできたヤマトは、その空
洞惑星へ降下した。

 それまでの調査と情報で、そこがテレザートという星だということは
わかっていた。宇宙の銀河と銀河の間に、ポツンと浮かぶ孤独な星だっ
た。
 《テレサはどこにいるのだ――?》
 誰もがそう思い、目の前の空洞惑星を眺めた。暗い宇宙空間に浮かぶ、
草も木も生えず大気もない、むきだしの惑星――。多くの空洞惑星がそ
うであったように、人々は地下都市か空洞内部に暮らしているのだろう
か。
 ――そして白色彗星の魔手はすでにその地にも伸びていて、ヤマトの
到着を待っていた。
 あとでわかったことだが、テレサは白色彗星によってその星に幽閉されて
いたといってよい。自ら封印されていたかったこともあるだろう、その気に
なれば、彼女はその牢獄から出ることも可能だっただろうから。

 「空間騎兵隊、降下!」
 艦長代理・古代の命を受けて、斎藤たち空間騎兵隊員が降下していく。
敵影はなく、荒涼とした廃墟と化した都市に、人影はまったく見えず、
しかし文明の粋を尽くした近代都市は、地球の未来に姿にも思われた。
 都市部のはずれ、砂漠の広がる平原の入り口で、騎兵隊は敵に遭遇し
た。
 苦戦の末、これを突破する。
 斎藤の依頼で、古代と真田が多弾頭ミサイルを運び込んだのだ。…も
ちろん科学兵器の威力だけではない。複雑な組み立ての時間を稼ぐため、
「もう少し頑張ってくれ」という古代に、「わかった!」のひとことで斎藤は、
手榴弾を手に接近戦を仕掛け、敵戦車を乗っ取って暴れまくった。
「たいしたやつだ…」古代の一言は艦橋で成り行きを見守っていた島にも
同感だった。
 そして、テレサからのメッセージが入電し、相原と島はそれを受信した。

 古代の留守中は真田が艦橋の指揮を任されることが多いが、二人はと
もに工作隊として上陸作戦を取ることも稀ではない。そういったときは、
自然、副長待遇である島大介が指揮を執った。艦隊では、職権の侵犯は
許されないので、そういう内規になっているのだろう。さらに島も不在の時
は南部が引き継ぐ。
 格納庫で整備に余念なく出撃に備えるコスモタイガー隊に、艦内に響く
島の声が聞こえた。
「古代艦長代理以下、テレザート星に降下、テレサとの遭遇に成功。これ
から上陸する。各人注意せよ」
 ピリッとした声だが、どこかホッとしたような思いが艦内に溢れた。

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