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『ヤマトよ永遠に…』より
(ユキが、生きていた――) 艦橋のメインパネルに映し出される姿を見て僕は、呆然としたと同時に、ホッと して、半分泣きそうになったと思う。 《古代くんは‥‥》 キリッとした姿勢と口調を崩さず、報告と指令を伝えていたユキの顔が歪みそう 言った途端、古代さんの顔は見えなかったが、よろよろ、と前へ歩き出して、 あの人としては――僕が記憶している限り初めての、立場を忘れた発言をした。 「必ず、帰るよ――ユキ」 それを聴いて、誰もが。艦橋の誰もが、切なく、心から良かったと思った。 しかし、たいした女性だと思う。 敵陣に残され、生還しただけでも奇跡だったけれど、防衛軍の軍服に身を包み、 明らかにパルチザンとして戦ってきただろう、目つきも鋭く変わっていた。 ヤマトにいた彼女は、確かに射撃も、操縦も人並み以上――たぶんメインクルー が求められる程度には――だったが、けっしてそれを人に向けることなく、彼女 の手は、看護士として人を助けるためにのみ使われてきたはずだったから。例え それが敵の捕虜だろうと。 だが、パネルスクリーンの向こうに見えるユキは、戦士の顔をしていた。 ヤマトには乗っていない――だけど、今まさにユキは、ヤマトの戦士だった。 僕の腕が、とっさに古代さんを抱きとめてしまった。 殴られて――佐渡先生が止めてくれなかったら、僕はきっと殴り殺されていたと 思う。戦闘士官として全身武器の彼に本気で殴られたら、きっと死んでしまう。 だけどそれでもよかったかもしれない―― 古代さんの顔を、まともに見られない気がした時。 「後悔してるのか?」と島さんに言われても、「いえ」としか答えられない僕。 島さんだって、そんな答えを期待していたわけではなく。ただ僕を、救おうとし て。 でも、古代さんのためではなく、僕たちのために、ヤマトのために、あの人は 必要で。 だからといって、咄嗟に、考える前に体が動いたことに、自分でも驚いていた あの時。 それほどまでに、古代さんは、ヤマトそのもので、僕たちの“前を歩く人”とし てなくてはならない存在なのだ。本人が望むと望まざるとにかかわらず――。 そしてまた。他のクルーの誰よりも、僕はあの人といつも居て、ガミラス戦が 終わっても、ガトランティス戦が終わっても――いつも共にあれたから。 僕は、古代進の耳だ――。彼が、危険を察知し、地球の良心であり、 防衛線であるならば。 僕はその耳でありたい――共に。 だけれど。 ユキがいない古代さんは、古代さんではなくて、あの深い、昔、訓練学校時代 に見た、深い深い暗い穴に、また落ちていってしまうようで――島さんは怖かっ たのだと思う。 僕らしか知らないことだ。――僕と、島と。南部と、太田と。 だけれど、ユキは生きていた。 戦い、勝って、そして、今度は僕たちの――ヤマトの番だ。 そして――。 |
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