告知
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 イスカンダルでコスモクリーナーDを受け取り、ヤマトは地球への帰艦を急い
でいる。暗い宇宙空間を切り裂くようにワープしながら、ひたすら地球を目指す
ヤマトの艦内は、大きな使命がようやく果たせそうだという安堵感が広がり、久
しぶりに穏やかな空気に包まれていた。
地球へ戻れば、世界中の人が歓迎してくれるだろう。一日も早く、遅れを取り戻
して帰るのだ。青い地球を取り戻すために…!
乗組員たちの思いは一つだった。無事に地球に戻るために、誰もが黙々と働い
ている。

月ライン

 いくら立とうと思っても、足に力が入らない。
杖にすがって何度も試してみたが、たった一本の杖ではどうにもならなかった。
仕方なく、匍匐ほふく前進の要領で艦長席のコンソールパネル までたどりつくと、沖田は
長いため息をつく。
この席から杖をついてトイレまで行った。用を済ませ、戻ろうとしたのだが転倒
し、ひとりでは立てなかったのだ。
「…明日のために今日の屈辱に耐えろ…か…」
沖田は古代守に言った、自分の言葉を思い出して口にした。
「今日の屈辱に耐えて…生きる価値がわしにあるだろうか」
地球には自分を待ってくれる家族はすでにいない。
ヤマトの艦長としての義務と責任があるからこの艦長室にいるのだが、実務の多
くは、すでに艦長代理の古代進にまかせてある。
古代進は、期待に応えるべく、頑張っているのだから、たとえわしが居なくとも
仲間に支えられてどうにかやっていけるのではないか…
自分はもう、名前だけの艦長でしかない…
「…いや、まだ生きねばならん…」
長く、長く、沈黙した後で、沖田は艦内放送のスイッチを入れた。
「佐渡先生、艦長室まで来てくれんか」

 さては具合が悪いのではないかと佐渡があわてて駆けつけてみると、艦長は
艦長室のイスの脇に座り込んでいた。
「艦長!? どうされました? 大丈夫ですか?」
小柄な佐渡が、沖田の脇にもぐりこむように入って、立ち上がるのを助け、よう
やくベッドまで移動させる。
「いやあ、すまん。転んでしまって立てなかったんだ」
「無理はいかんですよ。艦長…」背もたれを起こし、腰まで毛布をかけてやりな
がら佐渡は穏やかに言った。
「佐渡先生。先生には手術もしてもらったし、本当に世話になった…」
沖田の神妙な口調に、佐渡は驚いて、「なーにを言っとるんですか、艦長。わし
は医者ですから、治療を行うのは当然でしょうが?」と言う。
「先生…もうしばらく付き合ってもらいたい。お恥ずかしいが、助けてはもらえ
ないだろうか…」
佐渡もまた、同じように神妙になって沖田の相談に聞き入った。

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